寒暖差が激しく体調不良を引き起こしやすい季節となりましたが、歴史学会の会員の皆さま、お変わりなくお過ごしでしょうか。
昨年末に歴史学会の大会があり、会長と理事の一部の交替が承認されました。大石会長、それから任期を終えられた理事の皆さん、これまでどうもご苦労様でした。また、まだ理事を続けていただく皆さん、そして新しく理事になられた皆さん、これからよろしくお願いいたします。
実は、今回の会長職は再登板です。前回は2008年末の大会・総会から4年間、会長職を務めさせていただきました。会長職を引き受ける数ヶ月前に、今年2月で15歳になる「シェルティ」を飼いはじめ生活が一変したのですが、それで自分の新たな側面を発見する結果になりました。それが会長職を引き受けた大きな理由のひとつでした。また、リーマン・ショックが起こり、アメリカで黒人初のオバマ大統領が誕生するなど、政治や経済の変化を実感させられた年でもありました。
前回の会長職を引き受けたのは50代半ばで、その際もそれまで会長をやられた先生方に比べて若かったので、かなり躊躇したことを憶えています。しかし今回は逆の意味で会長職を引き受けることに躊躇せざるを得ませんでした。私もすでに古希を過ぎており、体力や知力の衰えを感じることがしばしばあったからです。会長職に就くことじたいが「老害」だと言われかねません。
しかし悩んだ末に会長職を受けることにしました。前回は本務校での事情により任期を2年残して会長を辞したという負い目もあります。また、若い研究者が何を考えて歴史を研究しているのか大いに気になります。さらに、今回もコロナ禍にともなうさまざまな変化やロシアのウクライナ侵攻などが進行するなかで会長職を引き受けることに、浅からぬ因縁を感じます。
前回の会長職期間からこれまで本会の活動にも無視し得ない変化がありました。その一つはホームページが復活したことです。もう一つは、「歴史総合」をめぐるシンポジウムが連続して開催されていることです。「歴史総合」の導入は、「日本史」・「世界史」の二本立てでやってきた戦後の高校歴史教育が近現代史に関しては根本的に変わることを意味しています。しかし、「歴史総合」が掲げる目標やそれに充てられる授業時間、そして「歴史総合」を担う教員や生徒のあり方などを考えただけでも、教育現場でのさまざまな困難が予想されます。「歴史総合」の授業実践は2022年度に始まったばかりであり、その成否は予断を許しません。本会もその動向を注視する必要があると思っています。大学と高校の先生方との密接な連携や対話が必要であることは言うまでもありません。そのような連携や対話が本会の活性化につながれば、とも思います。
私も、このホームページの場を借りて今後さまざまな情報を発信し、本会の活性化に寄与できればと考えています。もちろん本会の活性化は、私ひとりの力でどうにかなることでもありません。若い理事の皆さんに助けてもらいながら、「老害」といわれないように微力ながらも努力するつもりです。会員の皆さんもご協力のほどよろしくお願い申しあげます。
2023年4月 松浦義弘