2025年1月 会長挨拶 大会シンポジウム「人間と動物の関係史」について
昨年の12月8日(日)、歴史学会第49回大会シンポジウムが大妻女子大学千代田キャンパスで開催されました。「人間と動物の関係史」というテーマをめぐって、鈴木明日見氏(駒沢大学)による趣旨説明に続いて、きわめて興味深く充実した報告とコメントがなされました。報告とコメントを担当された志村真幸(慶應義塾大学)、伊東剛史(東京外国語大学)、富田敬大(神戸大学)、菅豊(東京大学)の各氏に心から御礼申し上げます。
シンポジウムの報告・コメントを聞いて思い出したのは、中村吉治が学生だったとき、日本中世の農民史を卒論のテーマに選びたいと指導教授の平泉澄に相談したところ、平泉が「百姓に歴史がありますか」「豚に歴史がありますか」と言い放ったというエピソードです。このエピソードは雑誌に掲載され広く知られていますから、ご存じの皆さんもいるかと思います。平泉の放言の真意は正確にはわかりませんが、豚は言葉を話さない、農民も歴史の素材となる記録を残していないということでしょうか。あるいは皇国史観論者の平泉のことですから、農民の歴史は皇国の歴史にとっては何の意味もない、ガラクタの寄せ集めにすぎないということ...