歴史学会大会シンポジウム会長総括
大会シンポジウムについて思うこと
寒暖の差が大きく、体調維持に苦労する日々が続いています。皆さま、お変わりなくお過ごしでしょうか。
去る12月3日(日)、今年度の大会・総会が日本大学経済学部のキャンパスで開催されました。午後の大会シンポジウムは、「近現代の人間社会と自然をめぐるふるまい」というテーマで、空由佳子氏(フェリス女学院大学)による論点開示に続いて、きわめて興味深く充実した報告とコメントがなされました(公式ウエッブサイト参照)。報告とコメントをされた水野祥子(駒澤大学)、太田淳(慶應義塾大学)、小仁田章(昭和女子大学)、伊藤毅(青山学院大学)の各氏、およびシンポジウムに参加してくださった皆さんに、心から御礼申し上げます。
三報告を聞いてとりわけ印象深かったのは、「近代」を論じる枠組みや形式が、戦前の「日本資本主義論争」から「戦後歴史学」にかけての時期のそれとは明白に異なっていたということでした。
「日本資本主義論争」は、明治維新の性格や革命戦略などをめぐって「講座派」と「労農派」のあいだで闘わされた論争でした。一方の「講座派」が明治維新は「絶対主義的改...