会長挨拶

例年になく早い梅雨入りとなりましたが、歴史学会の会員のみなさま、お変わりなくお過ごしのことと思います。福島原発の事故処理が長期化するなか、電力不足によってさらなる節電をもとめられる季節が近づいています。今年の夏が去年のような猛暑にならないように祈るばかりでなく、電力にあまりにも依存するにいたった、ここ数十年のわたしたちの生活の激変を自覚せざるをえません。

すでにブログでお知らせしたように、今年度の大会・総会は、12月4日(日)に明治大学駿河台キャンパスで開催することになりました。午後のシンポジウムは、過去2年とおなじく「都市」に焦点を当て、「都市における「再開発」の諸相」をテーマにしておこなう予定です。もともとは、フランス第二帝政期にパリの中心部の再開発をめざしたセーヌ県知事オスマンのパリ改造が念頭にありました。しかしこのテーマは結果的に、東日本大震災後の都市の「再開発」にも密接に関わるものになると思われます。関東大震災後の東京の「再開発」なども念頭にあるのですが、なかなか適当な報告者を探すことができないでいます。現在、企画担当理事を中心に充実したシンポジウムにすべく努力しておりますので、ふるって大会に参加していただければと願っております。

最後に、歴史学会に関心を持っておられる方々にぜひとも本会の会員になっていただきたいと思っています。特定の大学を拠点としているわけではない歴史学会は、とくに若い研究者による新鮮で意欲的な研究を会誌に反映したいとせつに念じています。そのために、2008年度から学生会員の会費を大幅に減額する措置をとりました。大学院生の皆さんにはぜひ歴史学会の会員になっていただき、雑誌『史潮』を自分の研究発表の場として利用していただきたいと願ってやみません。

2011年5月 歴史学会会長 松浦 義弘