歴史学会第49回大会・総会・シンポジウム開催のご案内

第49回歴史学会大会を下記の通り、開催致します。

概要

プログラム

自由論題報告 (10:35〜11:15)

  • 松岡昌和(大月短期大学)
    「戦争の記憶と国民統合 ―2021年度シンガポール中等歴史教科書にみる第二次世界大戦」

総会 (11:25〜11:45)

シンポジウム (13:00〜17:25) 〈人間と動物の関係史―「近代化」をめぐって―〉

  • 13:00〜13:10  挨拶、趣旨説明 鈴木明日見(駒澤大学)
  • 13:10〜13:50 第一報告:志村真幸(慶應義塾大学)
     「「日本犬」がつくられた時代―愛犬趣味と戦争」
  • 13:50〜14:30 第二報告:伊東剛史(東京外国語大学大学院総合国際学研究院)
     「銃を握れない牛、法廷に現れたロバ 
                   —イギリス初の動物虐待防止法をめぐる人と獣の表象」
  • 14:45〜15:25 第三報告:冨田敬大(神戸大学大学院国際文化学研究科)
     「社会主義モンゴルにおける家畜と人間の関係 ―牧畜の産業化は何をもたらしたか」
  • 15:25〜15:45 コメント:菅豊(東京大学東洋文化研究所)
  • 16:05〜17:20 総合討論

シンポジウム 〈人間と動物の関係史―「近代化」をめぐって―〉趣旨文

 歴史学会では年次大会の一環として、世界の歴史的事象について、地域横断的な視点に立ったシンポジウムを開催してまいりました。

 2022 年は古代から近世の呪術、奇跡、怪異を通して、各地の世界観や他者との関わり方を比較検討しました。2023 年は、異なる自然観を持つ諸地域の接触・交流が活発になる近現代の自然に対するふるまいを考察しました。このように歴史学会では、近代化が進む中で変化する多様な価値観を取りあげ、ヨーロッパ的な近代化の相対化を試みてまいりました。

 2024年は、近代化の中で変化する人間と動物との関係を明らかにし、それにより動物観や自然観がどのように変化していくのかに迫りたいと思います。日本、ヨーロッパ、モンゴル、中国を対象とし、歴史学だけでなく文化人類学、民俗学などの視点からもこの問題に取り組みます。

 人類が出現してから動物は常に側にいる存在でした。最初にその関係が変化したのは野生動物の飼育が始まったことです。それにより動物は食用としてだけでなく、運送や農耕、軍事の動力として、または愛玩対象として、人間と非常に近しい関係を築いてきました。こうした人間と動物の関係は、近代にヨーロッパで科学技術の進歩によって工業化が進むことで変化していきます。

 19世紀以降、動物愛護や自然環境保護の思想が重視されるようになる一方、世界規模で進む自然環境の開発や農・牧畜業の機械化により、現在もなお生態系の破壊や絶滅動物が問題となっています。こうした人間と動物の関係を見ていくことは、人間社会の在り方を問うことにもなります。またグローバルな取り組みとして、自然や動物の保護が叫ばれるなかで、歴史研究もまた、人間社会のことだけではなく、人間と共に生きる動物にも目を向ける必要があるのではないでしょうか。 本シンポジウムが、私たちが認識する世界の自明性を問い直し、多様な価値観に心が開かれるきっかけになりましたら幸いです。

ポスター

会場への地図(Googleマップ)